某エステサロンは一人の客に一人のエステティシャンがつくのではなく、特に担当者もいない。2〜3人のエステティシャンが手の空いている順に、次々と施術を行っていく。施術用マットの上には、使い捨てのピンク色のビニールシートが敷いてあって、客が変わるごとに交換しているようだった。まずは体重と各サイズを測っていく。バスタオルで体を覆うわけにもいかず、ショーツ一枚になってメジャーで測られていくうちに、もう恥ずかしさを通り越していた。これは保健室でやった、学生時代の集団身体検査のようだった。ロッカーの前にある、目盛りがくっきりと出る大きな体重計に乗ると、隠す余地もなく52キロという体重が表示された。―はあ。慌てて周りを見ると、ベッドに仰向けになったまま、こちらをみんながじろりと見ていた。この中だと私が一番太っているかもしれない。早く測定を終えたい!私は忘れていた。痩せたい心理の中には、男性に対する意識が強いとばかり思っていたが、おそらく最大の敵は同性なのかもしれないということを。私はあちらこちらから痛いくらい視線を感じていた。ここまでで測った個所は、上から順に言うと「二の腕」「胃部」「ウエスト」「ヒップ」「太もも」「ひざ回り」「ふくらはぎ」「足首」だった。施術後にどれだけ痩身したのかを正確に測るために、太ももならつけ根から5センチ下、ふくらはぎならひざ下から8センチ下といったように、かなり細かく決められていた。体重はX社の体験コースをしたときから1キロ太っていたが、他のサイズはあのときと全く同じだった。次は体脂肪率を測ることになって、扉を通り過ぎ、ドームサウナの前まで連れてこられた。今まで私は体脂肪率を測ったことが一度もなかった。今では体脂肪率も体重と一緒に測れる体重計が一般の家庭にも普及したが、この当時はこういうところか、スポーツクリニックのようなところでないと測れなかった。体脂肪を測る機械はレジスターのような形をしていて、左側にモニターがあり、右側には数字キーがついていた。その中央には上から「回「%」「kd」という表示があった。そして機材に差し込まれたコードに、指が回るくらいの太さのステンレス棒がついていた。まず身長と体重を、数字キーを使ってインプットする。それから立って足を軽く開いた状態で、腕を前に突き出しステンレス棒を水平に持つ。するとモニターに人の形をした赤いランプがつき、脂肪がついている場所にその赤のランプが点滅するようになっている。そこで筋肉太りか、水太り、あるいは脂肪太りなどと判定される。それから最初にインプットした、身長と体重が表示されている中央の部分に、脂肪率(%)と基礎代謝(kd)が表示される。体脂肪率は、体の中の脂肪がどれだけあるのかを示す。成人女性の平均脂肪率は17%〜24%だといわれている。体重が平均値にあっても、脂肪率が高ければ内臓肥満などといわれ、体重が平均値を超えていても脂肪率が平均なら肥満ではない。特にそういう人は、筋肉によって体重が増えているという。基礎代謝は、一日何もしなくても消費される消費カロリー値を示している。基礎代謝が高ければ、それだけ太りにくいことになる。もし低ければ某エステサロンで体質を改善することになるという。私は脂肪率を測りながら、こういう難しい説明を聞かされた。
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